足踏みのミシンをカタカタと踏みながら何かを作っている母の姿がありました。時には採寸のためにあっち向いたりこっち向いたり、手を上げたり下げたり、それからしばらくするとワンピースが出来上がっているのです。母の作るワンピースは体にぴったりしていますのでとっても着やすく、なんと言っても他の人とは違う柄なのでとても気に入って着ていました。スカートの丈だって、買ったものは長かったり短かったり、かがむと下着が見えそうになるスカート丈が大嫌いだったので母の手作りは私にとって有り難いものだったのです。しかし今になって考えると少し野暮ったいスカート丈だったのかもしれません。
さすがにミシンはカタカタと針が早く動くので怖くてなかなかさわる事ができません。母が使っていない時は足踏みを動かしていたずらで遊ぶ事はありましたが、何かを縫ってみようとかは考える事がありませんでした。
ある日、近所に住む叔母がかわいらしい色の布を持ってやって来ました。とても鮮やかなピンクで少し光沢のある、柄はないのですが生地自体が折り目で縦縞の模様がつけられているものでした。そして、これで袋物を作ったらどうかというのです。私は嬉しくて早速叔母に教えてもらいながら布を切り、線を引き、待ち針で布を合わせました。いよいよミシンを使える日が来たのです。
叔母は「ここからここまで縫うんだよ。」と縫い終わるところに印を付けてくれました。そして、私をミシンの前に座らせると布の端に針を落とし、ゆっくり足踏みをするようにと言いました。ミシンの針はゆっくりピンクの布を刺しながら進んできました。自分の足を動かすたびに針が上に下に行ったり来たりしながら布を刺し縫い合わせていくのがだんだん楽しくなり、夢中になって布を縫い合わせました。長さにすると30センチもない長さを縫ったのですが、とても大仕事をしたような気分です。縫い終わった布はくるっとひっくり返すと縫い代が隠れて奇麗な袋物になりました。
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